組織について


あなたはどんなCEになりたいの?
「やりきった!」と言える最終地点はどこ?


「CEは一生勉強だよ」 と、学生時代に先生からよく言われたのではないでしょうか?
国家試験の合格はスタート地点です。

近年の新人CEに「どんなCEになりたいの?」と聞いても明確に答える人材は皆無と言っても良い状況です。
「何でもやりたいです!」と答える人もいますが、CEの業務範囲はどんどん拡大しており、すべての業務に対応できる人材も皆無と言えます。新人の間は何でも手を出すことは良い事です。それは自分が本当に極めたい業務は何なのか?を見つける時期だからです。当科ではその期間を2年と考えています。もちろんそれより早くてもかまいません。目標を見つけたら、その業務を極めるために切磋琢磨できる環境を可能な限りで整えます。目標は一つでなくてもかまいません。しかし多すぎても混乱と疲弊を招きます。
当科では常に上昇志向をもって取り組む、そしてその結果が個人だけでなく部署に、病院に、そして法人に対して貢献となるような、先を見据えた業務対応を求めています。
そのための目標を推進する道筋を下図のように考えています。

貴方にとって40年のCE人生において最終目標地点はどこですか?

野崎徳洲会病院の臨床工学科のステップアップラダーの画像

教育体制

 当科では新入職員に対する教育をシステム化しており、入職時にある程度のプログラムを組んで実行しています。
 具体的には各業務において技術習得の目標期間を設定し、教育順序を策定しています。また各業務には教育チェックリストが用意されており、先輩によってすべてにチェックが入ると該当業務の独り立ちと判断します。チェックシートを採用することで「自分は何ができていないのか?何を習得すべきなのか?」が判断でき、向上意欲が途切れないように心がけています。
 まずは当直対応に向けて一般業務の習得を目指します。それらすべてが対応可能となると、各個人が希望した専門業務に携わります。当科ではチーム制を導入しており、各業務チームの一員として技術と知識を研鑽し、認定士等の取得をめざします。経験を重ねるごとに第2・第3と複数の専門チームに所属することを目指して日々努力しています。
 しかし教育体制ができているからと受け身では進歩できません。先輩から教えられる事項は手順や技術であり、理論については自己学習が必要です。各行動の意味が理解できていない場合は次のステップへの移行が許可されないこともあります。



新人教育スケジュール例

新人教育スケジュール例の画像


先輩からの指導風景



2年目技士の声
大阪医専 卒

 私は入職して1年間で透析業務、人工呼吸器ラウンド、内視鏡業務、高気圧酸素業務、脳DSA業務特殊血液浄化業務、補助循環業務、手術室業務、機器管理業務と様々な業務を経験しました。教育システムは各業務ごとに教育担当指導者が3人以上設けられており、指導者たちが教育スケジュールを入念に立て、定められたチェックリスト通りに行うものでした。
 ジェネラリストを目指す私にとってこのような体制はとても魅力的でした。日に日にチェックリストが埋まっていき、対応できる業務が増えていく充実感、次はどのような業務を行えるのかというワクワク感、なりたい自分に近づいていく達成感、これらにより毎日やりがいを感じる1年間でした。
 もちろん入職直後は不安でした。「こんなに多くの業務を自分が行えるのか?」「覚えることがいっぱいで大変なんじゃないか?」と思ったものです。しかし解らないことはすぐに先輩に質問できる環境があり、その不安はすぐに解消されました。なぜなら先輩たちは皆がジェネラリストであり、たとえ教育担当者でなくても新人の疑問に答え、フォローもしてくれるからです。またスケジュール通りに進まなくても急かされることもなく、教育期間の延長など見直しが図られます。
 今後の私は2年目のカリキュラムとして人工心肺業務もしくは心臓カテーテル業務へ進んでいきます。現在は心臓カテーテル業務を希望していますが、将来的には人工心肺業務にも携わっていきたいと考えています。そして最終的にはこの部署の目標であるジェネラリストを基本にしながらスペシャリストを目指すということに挑戦したいと考えています。



11年目技士の声
桐蔭横浜大 卒

 私が後進指導の際に気を付けていることは如何に仕事に興味を持ってもらうかです。ただ業務の流れを教えるだけでなく、考えながら周りの状況を把握して行動するように指導しています。また新しい情報やワンポイントテクニックなどもできる限り伝えるようにしています。
 今やっていることに興味を持ち、さらにその先のスキルアップに繋げてもらえればと考えています。
当院は技士長をはじめ各分野に精通した臨床工学技士が在籍し、若手もやる気に満ち溢れており、私もモチベーション高く日々の業務にあたっています。
教育の進捗は週に一度の報告会があり、スタッフ全員が情報を共有するシステムになっています。毎年チェックリストの見直しと更新を行っており、教える側も進歩が必要です。



サポート体制

徳洲会では、ある一定の認定資格を取得すると最大で15000円の資格手当が給与に付与されます。当科では学会発表や認定資格の取得を強く奨励しており、モチベーションを持ったスタッフには可能な限りのサポートを行っています。勤怠の考慮はもちろんのこと、受験料、交通費、宿泊費なども臨床工学科の部署研修費を利用できるように配慮しています。
またME機器に関わるメンテナンス講習の受講も同様です。1人でも多くのスタッフが受講し、スタッフ全員によるメンテナンスや定期点検の実行を目指しています。



認定士を取得した先輩の声

8年目 副主任

植え込み型心臓デバイス認定士

植え込み型心臓電気デバイスは多機能化と高性能化が年々進み、患者様へより質の高い医療を提供できるように発展しています。しかしそれを医師のみで新たな機能を追従することは困難であると感じる場面を見ることがありました。患者様へ良質な医療を提供するためには臨床工学技士によるサポートは必要不可欠なものになっています。私が自信をもって「対応可能です」と公言するには誰もが納得できるような証明が必要だと思い至りました。
日本不整脈心電学会では医療スタッフの知識レベル向上や患者様へより質の高い医療を提供することを目的に“植え込み型心臓デバイス認定士”の制度があります。
私は経験年数7年目(業務担当5年)で認定資格を取得しました。



12年目 主任

体外循環技術認定士

私は入職2年目より体外循環業務に従事しております。 当院は心臓血管外科認定修練施設取得のため体外循環技術認定士を保有する臨床工学技士が必要となりました。認定士取得には日本体外循環技術医学会の定める教育カリキュラムを学び、試験を受ける必要があります。そこで私に取得するように命令が下されました。もちろん病院からサポートがあり、6年目に取得しました。
体外循環技術認定士を取得する過程で知識が深まり、日々の業務の中で新しい発見や気付くことが増えました。
取得したことで良識な知識の下、後進の育成にも力を注ぐことができました。さらに資格取得に伴い資格手当が支給され、さらにモチベーションが上がりました。
体外循環技術認定士は取得がゴールではありません。取得は全ての患者様へより良い体外循環の提供をすることを考え出す第二のスタートラインであると思います。



臨床工学科スタッフの認定士取得 一覧

体外循環技術認定士(4学会) 2名
周術期管理チーム認定(日本麻酔科学会) 1名
呼吸療法認定士(3学会合同) 4名
透析技術認定士(透析療法合同専門委員会) 3名
臨床ME専門認定士(生体医工学会) 1名
植込デバイス認定士(日本不整脈心電学会) 3名
心電図検定1級(日本不整脈心電学会) 1名
心電図検定2級(日本不整脈心電学会) 2名
心血管インターベンション技士制度認定(日本心血管インターベンション治療学会) 3名
第1種ME検定(生体医工学会) 1名
第2種ME検定(生体医工学会) 17名
呼吸治療関連専門臨床工学技士(日臨工) 1名
認定集中治療関連臨床工学技士(日臨工) 2名
消化器内視鏡技師認定(消化器内視鏡学会) 1名


タスクシフトに向けて

徳洲会では、「臨床工学技士の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修(通称:タスクシフト」について、研修受講を業務命令としています。
したがって受講にかかる費用の負担に対して補助が支給されており、受講費の一部(38000円)および交通費、必要に応じて宿泊費も補助の対象になっています。また実技研修は出張として扱われています。そのためどこの施設よりも徳洲会のスタッフは受講率が高く、可能な限り早急な業務拡大に向けてグループがまとまって活動しています。



野崎徳洲会病院について

野崎徳洲会病院の所在地は大阪府大東市です。大東市は文字通りに大阪の東側にあり、東にそびえる生駒山脈沿いに奈良県と隣接しています。

日本書紀によると初代天皇である神武天皇の東征で戦いが行われた地であり、古墳群も存在しています。戦国時代には織田信長より先じて天下人となった三好長慶の居城「飯盛山城址」があります。また慈眼寺は人形浄瑠璃や落語等の噺で有名な野崎参りの舞台です。

街中は下町ロケットのように小さな工場が多く、道が狭いために渋滞も多いですが、“程よく田舎で程よく都会“のイメージです。

本館東側には「野崎徳洲会病院附属研究所」もあります。